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【特色ある授業】読書教育③

2025.02.10

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 前回の記事(読書教育②)でご紹介した『リーディング・ワークショップ』の中で、著者のルーシー・カルキンズは「記憶に残るような本は、ほとんどの場合、その本について誰かと対話しているものです」と述べています。たしかに、本に限らず自分の心を震わせたものは、誰かに話さずにはいられないのが人の性分であり、また、人に語ることで自分の考えは整理され、自分の内部によりはっきりと定着するという人の認知プロセスも、先の言葉を支える根拠になると思われます。

 図書館での授業は、周囲の人とその日に読んだ本の内容について語り合って終わります。ただ本を読んだだけで終わるよりも、自分が読んだ本について他の人に話すことで、本の内容はもちろん、読書中の自分自身の思考を見つめ直すので、自己認識も深まります。
一方、周囲の人がしてくれたブックトークは、自分の読書活動の広がりへとつながっていきます。自分一人ではどうしても読む本のジャンルが偏ってしまいがちですが、他の人から様々な本に関する話を聞くことで、面白く、魅力的で、深く考えさせられる本がたくさんあることを知ることができます。そして、敬遠していたジャンルの本に手を伸ばすきっかけとなります。リーディング・ワークショップの実践者で、グローバル・ティーチャー賞の初代受賞者でもあるナンシー・アトウェルは、「(ブックトークは)生徒が本を読まない最大の理由、読まない生徒がよく言う『読みたい本が見つけられない』という問題を、解決している」(『イン・ザ・ミドル』)と言っています。

 自分が紹介した本を相手も読んでいて、語らいが一気に盛り上がる光景を、毎回の授業で目にします。また、その光景を見た他の生徒が、自分もその本を読んでみようかなと思い始めます。このように、読書とは決して孤独な活動ではなく、多くの人とつながることによって、その楽しさや広がり、深まりは倍増します。そして、そのように他者とつながる場を提供するのが学校という場の大きな役割ではないかと感じます。今後も、読書の習慣が生徒に身につくよう、生徒の主体性と他者とのつながりを大切にした読書教育を推進してまいります。

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